映画【六つの顔】 本物に触れるという事について
映画【六つの顔】を観た。
狂言師野村万作さんのドキュメンタリー映画だ。
以前、「名付けようのない踊り」を観た犬堂一心監督の映画だ。
https://www.culture-pub.jp/six-face/
街中を歩く野村万作さんを白黒の映像が追いかける。
昨年、亡くなった母と同い年。
最晩年は杖か手押し車を押さないと歩けなかった母を知っているので、93歳で杖なしで歩く万作さんはそれだけで凄い。
凄いが凄さは全くない。
映画はインタビューを織り交ぜながら、文化勲章受賞記念講演の「川上」を全編観せてくれる。
650年前に始まったと言われる狂言。
殆ど初めてみる狂言で、昔の言葉で語られる狂言で、最小限の動きだけの殆ど動きのないお芝居で。
笑った。
あっ笑うもんなんだと思いました。
万作さん演じる主人公は、最小限のとても僅かな表現でありながら、現代風に言えば”天然”の人柄を表出して、奥さんに叱られる場面で、思わず笑いが出てしまいました。
ばっかだなぁこの人、みたいな感じでしょうか。
人間国宝ってこう言う事かと思いました。
もう30年以上も前に日舞の舞台を見に行った事がありました。
日舞と言えば着物を着て踊るという事くらしかしらず、動きも小さいしダンス的ではなく美しい所作を見るものかと思っていましたが、全然違いました。
会を主宰される先生の踊りは、手を斜めに上げて指差すだけで、劇場の空間を大きく二つに分けるような広がりを観せてくれました。
それよりももっと僅かな表現で、男の性格ややってしまった事の間違いなどを表現する。
とても素晴らしい世界だと思いました。
本物に触れるとはこう言う事かと思います。
言葉では伝わらない、その世界を体感する事が大切だと思います。





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