軸について再び
「軸は引き上がるもの」
以前、そう書きました。
もう一度ちょっと違った視点で書いてみようと思います。
軸についてはいろいろな言い方があると思います。
「トレーニングして軸を作る。」
「トレーニングすると軸が出来る。」
「そもそも軸はある。」
三つは内容が違いますね。
以前書いた「軸は引き上がるもの」というのは最後に書いてある、「そもそも軸はあるもの」を別の言い方にしたものです。
そもそもあるものだから、自分で引き上がってくるのを感じるというような言い方です。
あら木はそんな風に説明しています。
自分の中にそもそもあるものを感じてもらいたい。
でも、軸は作るものであって最初からあるなんてことはない。
もしくは一生懸命トレーニングしたりレッスンをしたりするから出来てくるもの。
そういう考え方もあります。
「そもそも軸はある」という僕の考え方はこうです。
人は二本足で直立をする動物です。
二本足での直立は自律神経系の働きや筋反射などもあって、直立することに対して運動神経系を使った筋肉の使い方はそんなにしません。
立っている時には、殆ど意識しなくても立っていられる。
どこかに力を入れないと立っていられないということはありませんから。
それが、上手く立っていられない状態。
もしくは使わなくても良い筋肉を使って立っている状態。
例えば猫背や鳩胸や出っ尻などの状態は、原始的な姿勢反射に何か加わった状態です。
赤ん坊が立ち上がった時の状態から、胸を閉じるような背中を丸くするような運動をすると猫背になります。
鳩胸も出っ尻も、立ち上がるという運動以外に、何かをやっている状態です。
その「何か」をやめると、元の状態に戻ります。
この「戻る」という方向性を『軸は引き上がる』と表現しました。
分かりにくいですよね。
自分の姿勢はデフォルト(初期値)だと感じているんですから、今何かをやっていると感じることは難しい。
でも、その難しいことが出来たら、「戻る」感覚を感じられるかもしれません。
それを感じてもらうことが出来たら、それが基準になって立っていることが出来る。
そんな風に思います。
軸は作るもの、軸は作ると出来るもの、という考え方もあると思います。
毎日厳しいレッスンやトレーニングを子供のころからして、選ばれたダンサーの感覚はそうかもしれません。
いいや最初から感じられたというダンサーの話も聞きます。
軸を作ったダンサーは問題ありません。
でも、大人バレエや大人ダンスな人は、この感覚で気をつけなければいけないこともあると思います。
「作ったり出来上がったりする軸」がどんなものかという感覚です。
スタジオやレッスンで先生から言われることがあると思います。
もっと軸を感じて。
軸を作って回って。
などなど。
でも、自分としては感じていたり出来ていると思っているのに、そんなことを言われる。
これつまり先生の言っている軸と自分の考えている軸が違うということだろうと思います。
もしくは、自分が作ったと思っている軸と、実際に出来上がった軸が違っているということもあります。
人の感覚は曖昧で、自分で出来たと思っていることや、自分がこうやっていると思っていることが、実は出来ていないということがあります。
そこが難しいところかもしれません。
そんな時は徹底的に鏡を見ることです。
自分のやっていると思っていることと、実際にやっていること(鏡に映ること)が同じなのかどうか。
ひょっとして違いがあるかもしれません。
そして、軸を感じてとか軸を使ってと言われた時に、もし聞くことが出来たら先生に別の言葉で説明してもらうことも大切です。
軸を引き上げてと言っているのは、顎を引いて頭の天辺を天井に近づけることなのか、胸を天井に向けることなのか、もしくは肩を下げることなのか。
自分が受け止めた意味と先生が伝えたいことが違っているかもしれない。
軸の一言で言えることを別の言葉にしてもらうことは大変ですが、お願い出来るようならお願いしてみてください。
軸以外の言葉で表現してもらうという方法もあります。
言葉は同じでもそれぞれの使っている意味やニュアンスは違います。
白いコップと言われたら、これを読んだ人数分の白いコップがイメージされています。
何度言われても上手くいかないことがあったら、別の言葉で言ってもらうのは、一つの方法です。
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