現代人の体
現代の子供には「浮指」が多いという研究結果が、山梨大学エコチル調査甲信ユニットセンターの研究チームから発表されました。
https://news.mynavi.jp/article/20210531-1897274/
まあ、こういう研究を待つまでもなく、浮指が増えていることは実感としてありました。
浮指とは「立っているときにつま先が地面に接触せず、歩行中に体重がつま先に移動しない状態である(同研究より)」です。
研究によれば7歳から8歳の396人の浮指比率は96.7%だったとのことでした。
殆どの子供が浮指で、立っている時や歩いている時につま先を使っている人は稀(まれ)だということです。
ひょっとすると、立っている時や歩いている時はつま先は地面につかないもの、と思っている人の方が多いのかもしれません。
本来は立っている時や歩く時は、つま先は地面について使われるものなんです。
生まれてすぐから、靴下を履き靴を履いて生活していると、指はないものとして足を使っていることになるので、つま先を使わないとしても、まあ仕方がないのかもしれません。
足の指は何のためにあるんでしょう。
小指なんて本当に意味が分からないという人もいるかもしれません。
進化を昔に辿ってみると、魚類のヒレに当たるものが、哺乳類の前脚と後ろ脚になりました。
猿やゴリラなどは後脚(足)の指も器用に使って木登りをしたりします。
でも人間は足の指はあまり使いません。
昭和人間だとテレビのチャンネルを、寝ながら足で回した人もいるかもしれませんけど。
(これ読んでる人は意味が分からなかったら、60歳以上の人に聞いてみて下さい。)
でも、生まれたばかりの赤ん坊は足の指も手の指のように動かします。
人の足指ももともとは動くようにできています。
足指の本来的な意味としては、立っている時や歩く時に使うことで、立っている時の安定性を高めたり、歩くときに後脚を前に運ぶ助けになったりしています。
人の体は構造的に足指や足裏のアーチ(土踏まず)などのおかげで、歩くのに都合がよくできていると言われています。
それなのに足指を使わないで立ったり歩いたりしていると、前ももを使うことになって脚が太くなる原因になったりします。
ついでに言うと、脚が太くなるだけでなくO脚や外反母趾などの原因になったりもします。
とは言えそんなことは実感されません。
靴下を履いて靴を履いた生活では、足指は意識されないのが普通だからです。
同じようなことが他にもあるだろうと思っています。
ほんの数百年前まで電車も車も自転車もエスカレーターもエレベーターもない生活でした。
移動手段は歩くか走る。
人力車はありましたけど、あれも人の力で動いています。
日々の運動量は現代と比べると劇的に多いものだったと思います。
その頃と比べれば今は殆ど体を動かしていません。
でもその実感はありません。
ここ20年でも人の体は変わりました。
20年前は整体院に来る患者さんにセルフケアとしてストレッチをやってもらっていました。
今はストレッチの前に準備運動をしてもらうようなことが増えました。
ストレッチが過激な運動になってしまうような状態なのかもしれません。
嘆いて居るわけではありません。
便利になって楽な生活が出来るようになったということです。
でも、おかげで人は「動くように出来ていた体」を「「動かないように」使っています。
調子が悪くなる原因の多くはここにあるかもしれません。
まだ、運動不足の生活に体がアジャストしていないんだろうと思います。
もうあと何万年か経ったら、運動しないでも健康な人が増えてくるかもしれません。
でもまあ、今の人はそうではない訳ですから、調子が悪くなったら少し運動の習慣をつけると良いと思います。
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