手に仕事をさせるな 〜 Don’t let your hands job.
いつ聞いたのか誰に聞いたのか。
どこかで読んだのか。
この言葉を知ったのは、もうずいぶん前だったと思います。
Don't let your hands job.
あなたの手に仕事をさせるな。
意思のコントロールではなく、体の成すがまま(勝手に)させるな。
と言うような意味でしょう。
アメリカの大工さんだかが言っていた言葉だとか、職人に伝わる言葉だと聞いたように思います。
目を閉じたままでも、考えごとをしながらでも、誰かと話をしながらでも、手が正確に間違いなく動くようになるまで練習してトレーニングして鍛錬して、その上で手が勝手に動くようにさせるな、と言うことのようです。
整体にも言えます。
整体師は患者さんと話をしながら整体をすることがあります。
話をしながらでも、手は勝手に動いているのではなく、いつものように動いているのを自分で分かっています。
その上で話をしています。
体が勝手に動くように任せている訳ではありません。
色々なことが同時に起きている感覚です。
自分の体の状態も分かり。
患者さんの体の状態も分かり。
自分がどう体を使っているかも分かり。
次にどうすべきかも頭に浮かんでいる。
そんな状態です。
それが、”Don't let your hands job.”な状態、手に勝手に仕事をさせていない状態だと思っています。
今日、ピアノの指導をしている患者さんと話をしていました。
自分自身もピアノのレッスンを受けていて、先生から楽譜を読みながら弾くように言われたそうです。
いつも楽譜をめくるのが面倒で暗譜して弾いていたそうです。
そこで先生に言われて、目の前に楽譜を置いて弾くようにしたそうです。
楽譜を見ながら弾くようにしました。
それでも先生は読むように、読めていないと言われたそうです。
それが、今年に入ってくらいから、何故か読みながら弾くようになったそうです。
アレクサンダーテクニークを受けてもらっている方なので、それが奏功したかもしれません。
いや違うか。
でも今年に入って読めるようになった。
そうすしたら、自分としては何時もと同じように弾いているにも関わらず、先生からは劇的に変わったと言われたそうです。
ちょっと分かりにくい話ですかね。
でも、これがまさにソレだろうと思います。
寝ていてもピアノが弾けるくらい練習はしています。
でも、楽譜を読むことで、手だけに勝手に演奏をさせない、自分のことが分かって、楽譜の動きも分かって、手を動かすようになった。
ということなのかなと思いました。
これは近くで見ている聴いている人なら劇的な変化として分かります。
でも本人としては分からない。
スキルが上がったと言う訳ではありませんから。
やり方ではなく在り方が変わったということです。
整体も同じ。
生徒さんにもいつも言っていることですが、なかなか自分では自覚しずらいことだと思います。
でもそれが出来なければ良い整体師にはなれません。
同じような手技でも全く違う受け取り方になるはずですから。
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