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ふんどしとリーゼント

読了までの目安時間:約 3分

1981年に紳士服の流通小売業に入社しました。
2年間は店舗で販売員をやっていて、本社にの外国部という部署に移動しました。
少ないながら輸出入があり、その実務的なことをやっていました。
しばらくして若者向けのカジュアル部門が出来る事になり、そちらに移動しました。
在庫や売上、仕入れや値引きなどの数値管理をする商品管理と、店舗の売上や経費を計算する企画的な仕事を始めました。

そのカジュアル部門では商品を仕入れする担当がいました。
バイヤーと言っていて、商品の企画をしたり、商品作りの時期や金額、どの店舗にどれだけ在庫させるかなど全てを担う人です。
既にキャリアを積んでいた男性が担当していました。
会社の10年くらい先輩で、ちょっとイケてるおじさん。
今で言えばちょいワル親父的な感じの人でした。

その部門は数年間で2店舗だった店舗数が100店舗近くになり、元の会社からは独立した子会社になりました。
肝煎みたいな感じでしょうか。
数年間で2店舗から100店舗まで行様を広げるのは、空恐ろしいほどの能力と実行力だったと思います。
もちろん営業もすごかったと思いますが、半年先1年先のことを考え企画して進めていく力は並大抵のことではありません。
そんな、ちょいワル親父先輩と店長会議という半年に一回の会議の時に、宿泊先で同部屋になった事がありました。

風呂に入って出てくると、頭にはリーゼントをしやすくするようにか手ぬぐいを巻いて、ふんどしを履いたちょいワル親父先輩がいました。

ふんどしですか?
なんだ悪いか。
いや、悪いって事は。
いいんだよ別に。

紳士服小売のバイヤーをやっている方が、ふんどしとは思いませんでしたが、しかし何故か似合っていました。
ニヤっと笑うと愛くるしさも垣間見られて、しかし仕事には怖いほどの迫力で向かっていました。
会社を辞め独立して、整体院を開いて二日目だったかに、突然やってきました。

おい、飲みに行くぞ。
ええっ!いやまだ仕事が。
いんだよそんな事。
そうやって飲みに連れて行ってもらいました。

今日、ちょい悪おやじ先輩の通夜です。

信じられない。
ご冥福を、と言いたいところですが、まだちょっと信じられない。
早すぎる。
残念です。

生きてるうちに会っとかないとだなと思います。
合掌。

 

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