ダンスの故障の原因の底にあるのは”疲れ”です。
大人バレエな皆さんやベリーダンスを始めた人。
ジャズダンスやコンテンポラリーダンスの人
ブラダンスやソシアルをやっている人
長くダンスを続けている半分プロみたいな趣味の人。
もちろんプロダンサーも。
ダンスの故障の原因の底にあるのは、疲れです。
疲労の蓄積が、体の状態を変え、テクニックに変化を起こし、故障に繋がっています。
疲労が溜まると、筋肉が硬くなります。
筋肉が硬くなると、動きに制限がかかります。
可動域が狭くなったり、筋力が出なかったり。
でも、頭で感じている感覚は変わりません。
いつものように動いていて、いつものように動けたと思っていても、歩幅が狭くなっていたり、脚の高さが低かったり。
支えられると思っていた体が支えられなかったり。
そうやって故障につながります。
先ずは疲れを抜く事が、ダンスの故障を防ぐベースになります。
それは大人バレエな皆さんもプロダンサーも同じです。
そんな時間がない、というのなら、故障をするのも仕方がないと思わなければいけません。
ケアは必要です。
故障をしてから言い訳しても意味がありません。
とは言え、出来る事をやりましょう。
無理な事を自分に科しても無理です。
睡眠時間をとるかケアの時間をとるかというような場合もあります。
大人だったら自分で選んで判断しましょう。
でも、何もやらないという事はない。
疲労を溜めないケア
・睡眠時間を確保する。(最低でも6時間半)・湯船に浸かる
・レッスン後のストレッチ
・使った場所はアイシング(無理なら冷たいペットボトルや缶でも)
・レッスン翌日午前には歩く(15分でも20分でも)
・歩けなければ軽い運動(ラジヲ体操程度でも)
レッスンしっぱなしで故障するのは、自分の責任です。
頭でだけ考えて、疲れている体を従属させないように。
体の声も聞いてあげて下さい。
バレエと解剖学 〜 股関節の話を聞いて4番からピルエットが上手くいった話 〜
股関節の話を聞いたら、4番プリエの時の足の幅について良く分かりました。
最近、入学されたバレエをやっている生徒さんがおっしゃっていました。
てあて整体スクールの解剖学は、限られた時間しかないので、オンライン動画とリアル授業の二本立てでやっています。
リアル授業では参加された生徒さんの理解度や興味に合わせて話をする事があります。
今回はバレエをやっているからという訳ではありませんでしたが、歩き方と合わせて股関節の話をしました。
股関節の靱帯は捻れています。
骨盤と大腿骨をつなぐ腸骨大腿靱帯は、膝が少し前に出ている股関節が曲がった状態だと、靱帯はまっすぐ繋がっていますが、立った姿勢で骨盤の下に大腿骨がある位置関係だと、45度分くらい捻れています。
靱帯は殆ど伸び縮みしないので、捻れると端(腸骨側)と端(大腿骨側)が近づきます。
膝が前に行って捻れが取れると、端と端は離れます。
脚が後ろに伸びると、捻れが強くなり、端(腸骨側)と端(大腿骨側)はより近づきます。
脚を後ろに残すと、つま先が地面から離れるだけで、股関節周りを脱力すれば、膝は前に戻ります。
膝は前に持っていかなくても、自然に元の位置に戻るように、前に振り子の要領で動きます。
そんな話をしました。
これを聞いた後に、バレエのレッスンでその話を思い出したそうです。
海外でレッスンを受けた時、4番の前後の足幅は広くと言われたそうです。
でも、自分としては広くしてしまうと、パッセに立ってピルエットする時など、立ちづらく上手く出来なかったそうです。
それが、股関節の靱帯の捻れの事を頭にいれてやってみると、足幅を広くすると、パッセに足を持ってくるだけで、靱帯の捻れの戻りだけで立てて回れたというんです。
いつもはパッセに膝をわざわざ持ってくるようにしていたので、不自然さがあったが、広めにすると逆に自然に出来たという事でした。
解剖学を知っていて、バレエに役立つ事があります。
知っているだけでは実はだめで、体感して実感する事が大切だと思います。
ココリコ田中さんがクラシックバレエを始めたらしい。
お笑い芸人ココリコ田中さんがクラシックバレエを始められたようで、【けっけちゃんねる】というユーチューブチャンネルで紹介されていました。
凄い。
このチャンネルはは松浦景子さんという吉本興業所属の、バレエ芸人さんのチャンネルです。
松浦さんは子供の頃からバレエをされていて、さまざまなコンクールでも入賞歴があり大学では舞踊専攻のコースを卒業されています。
バレエの先生をしていてもおかしくないキャリアの持ち主です。
ココリコ田中さんはもう50代で、仕事の関係でバレエに触れ、自分でもやってみようとKバレエの男性クラスを受け始めたそうです。
月に数回と言われていますが、1年続いているのは素晴らしいことだと思います。
ユーチューブの中ではで松浦さんにシャンジュマン(その場でジャンプ)やピルエット(片足回転)のやり方を聞いて実際にやっています。
バレエをやったことのない人が見ると、全然じゃんと思うかもしれませんが、見る限り頑張っているのが分かります。
ジャンプした時に爪先がけっこう伸びているんですよね。
ピルエットの腕(ポールドブラ)がいまいちでしたが、この感覚が少し出てくれば大きく変わると思います。
50代になって全く新しい事を始めるのは、素晴らしい事だと思います。
バレエは尚更凄いと思う。
荒木がバレエを始めたのは35年くらい前でしたが、その年齢から始める人は殆どいませんでした。
知り合いの先生のクラスに出た後、スポーツクラブのバレエを受けましたが、スポクラでは40人に1人という割合だった。
最近は男性も数名参加されるようになって、大きなカンパニーのオープンクラスだと、男性だけのクラス(ボーイズクラス)もあったりするようです。
最近はバレエクラスのレッスンには出られていませんが、週に1度くらいはバーレッスンだけ少しやっています。
自分の体の変化を知るにも良いですよ。
もっと頑張りたいのか、もっと上手く踊りたいのか
もっと頑張りたいのか。
もっと上手く踊りたいのか。
大人バレエな方やダンスをやっていると、いろいろと悩む事がありますね。
もっと回転したいとか、もっと脚を上げたいとか、もっと飛びたいとか、もっと反りたいとか。
そしてもっと上手に踊りたいと思います。
先生に指導されて。
上手な人を見たりして。
ユーチューブやティックトックで情報を集めたり。
そして、いろいろと試してみます。
でも、また注意されたり指導されたりします。
一生懸命やってるのに。
頑張ってるのに。
上手く行かない。
ひょっとして、その一生懸命や頑張りが問題なのかもしれません。
一生懸命に頑張ると、息が止まったり首肩に力が入ったりします。
踊る時に息が止まったり首肩に力が入ったりすると、良くない、というのは分かる。
でも、どうしても知らないうちに力が入ってしまう。
それに、一生懸命に頑張らないと、上手く出来そうにないと思ってしまう。
一生懸命に頑張るのは良い事です。
でも、首肩に力を入れたり息を止める(止まる)のは良くない。
だったら、一生懸命に頑張りながら、首肩の力を抜いて、息を止めないようにしてみてはどうでしょう。
んなの無理。
と最初から諦めないで下さい。
やってみないと分からない。
陸上競技の100メートルの選手は、一生懸命に頑張って走っているはずです。
でも、彼らの首肩は柔らかく呼吸も止まっていません。
それはそう言うトレーニングをしているからです。
一生懸命に頑張ると、力が入ったり息が止まるのが”普通”になっています。
でも、それはイコールじゃないかもしれません。
だって、100メートル選手には出来るんだから。
それに、力を入れているのを、やめるだけなんだから。
騙されたと思って、脱力して呼吸をゆっくりしながらレッスンしてみて下さい。
一生懸命に頑張ってる感じは、最初はないかもしれません。
でも、一生懸命に頑張って、そう言う方法をしているんだから、感覚とは別に実際には一生懸命に頑張ってます。
でも、力は入れない。
試してみて下さい。

ダンスだけじゃなくて、どうして解剖学やアレクサンダーテクニークをやった方が良いのか。
最近、ダンスのための解剖学講座やダンスのためのアレクサンダーテクニーク・グループレッスンをやっていませんでした。
そろそろ始めようかなと思っています。
ここ二24年前に整体院を開業した時に、ダンスをやっている人たちのために簡単な解剖学の講座を始めました。
その時はダンスの故障の話が多かったように思います。
数年してローザンヌ国際バレエコンクールの関係で、日本で若い人向けのバレエのレッスンと、同時に治療師向けの講座があり3年連続で参加しました。
ローザンヌのバレエ学校の元校長先生は当時、ヨーロッパでも2割くらいのバレエ教師しか、解剖学的な指導法を取り入れていないとおっしゃっていました。
日本のバレエの先生で「私は解剖学は嫌い」とおっしゃる先生がいると聞いたのもその頃です。
時代はずいぶん変わりました。
現代の40代くらいまでのバレエの先生の多くは解剖学を知って指導に生かしているように聞きます。
でも、どうしてダンスそのものじゃなくて解剖学なのか。
どうしてダンスだけじゃなくてアレクサンダーテクニークなのか、という、そもそもの話はあまりされないように思います。
解剖学を知らなくてもダンスは踊れます。
上手く踊れる人で解剖学なんて知らないという人はたくさんいます。
先ほども書いたように、昔のバレエの先生など解剖学は不要という先生もいらっしゃいました。
そう言う人たちに共通すると思われる事があります。
そういう方々は自分が動かしていると思っている体の構造や仕組みと、頭で理解している体の構造や仕組みが殆ど一致しているという事です。
その上で自分の体を自分の思ったように動かせている。
こういう人たちは解剖学やアレクサンダーテクニークなんて面倒な事は必要ないと思います。
自分の思ったままに踊る事の方が大切だと思います。
自分の思いが表現に繋がるからです。
でも、です。
多くの人は、自分が動かしていると思っている体の構造や仕組みと、頭で理解しているまたは頭で認知している体の構造や仕組みが、ズレています。
その上で自分の体を自分の思ったように動かせていない人もいます。
この二つが問題です。
解剖学やボディマッピングと呼ばれるものは、体の仕組みや構造を”再確認”するものです。
新しく覚えるというのではなく、そもそも自分自身の体がどうなっているか、どこで曲がるのか、曲がると思ってるのは、外から見てどこなのか、そして自分が動かそうとしているどこなのか。
解剖図やイラストや、触れてみたり動かしてみたり、たまにはイメージを作ったり。
そう言うことを通じて、これらがある程度一致すれば、自分が動かそうと思った体が、自分の思った通りの仕組みや構造なので、動きやすいということになります。
アレクサンダーは自分の体を自分が思ったように動かすための方法でもあります。
実際にはやらなくても良い事を止める事で、思ったような動きに近づく事になると思います。
自分が動かしていると思っている動きと、実際の動きの違いをまずは感じ確認する事から始めます。
解剖学もアレクサンダーテクニークも、なくても大丈夫なんです。
でも、ズレを治してもっと楽に踊りたいと思うのなら、知ってる方が近道だという事もある、という話です。

土踏まずだけ上げる事は出来ません。
大人になって久しぶりにバレエを始める人が沢山います。
小中学生の頃にやっていて、高校くらいで辞めて、30代40代50代60代になって再開する人です。
再開というより実際は始める感じだと思います。
クラスに行き始めると色々な事を言われます。
昔やっていた時に言われたかもしれないけど、忘れていた事などもあったりします。
土踏まずを上げて!
土踏まずが落ちていてい、足裏がべったり床についているような時に言われます。
頑張って土踏まずに空間を作ろうと、持ち上げようとします。
そうするとスネが硬くなったり、足指に力が入ったり、太ももまで硬くなったりしてしまします。
なんか上手くいかない感じです。
土踏まずが落ちているというのはどういう事なのか。
膝の方向よりも、爪先が外を向いているような場合です。
ニーイントーアウトなんて言われたりします。
これだと足裏の内側=親指側に体重が乗る事になります。
ターンアウトしたいのに、足は逆方向になっている事になる。
爪先だけ外を向いていなくても、土踏まずが落ちていて床についている事もあります。
脚をターンインに使っていて、足裏の内側に重心が乗ってしまうような場合です。
土踏まずだけ上げるのは無理です。
土踏まずが床についている状態は、その上から始まっています。
脚全体の使い方の結果です。
脚のターンアウトをせずに、土踏まずの空間を作ろうとしても、他の部分が変わっていなければ、無理が来ます。
長続きしないし、必要ない場所が緊張して故障の原因にもなるし、テクニック的にも間違った使い方になります。
土踏まずを上げようと思ったら、鳩尾(みぞおち)の奥から中の中を通って、両足の内側から足裏につながるラインを伸ばすようにしてみて下さい。
筋膜がつながっているとも言われていますが、その全体がしなやかにストレッチされていないと土踏まずは上がりません。
足裏から脚の内側を通って、お腹の中を鳩尾まで繋がるラインは、そのまま背骨の前を通って首を通り、頭に抜けていきます。
それが「軸の引き上げ」にもつながります。

大人から始めるなら、アレンジはしない事
大人バレエな皆さんへの記事を書こうと思って考えていたら、整体師になる人にも言える事で、たぶん大人になって何か新しく始める事に共通して言える事だと思ったので、表題のような書き方になりました。
大人になって何か始めるなら、自分が出来るようにアレンジしない事です。
教えてもらう事をそのまま言われた通りにやってみる事です。
そんなの無理だよと思っても、その通りにやってみる。
アレンジはしない方が良い。
例えばバレエを始めたとします。
ターンアウトという脚の動きがあります。
脚の動きと思っていない人もいるかもしれません。
この動きはバレエの前提となる動きです。
股関節から下肢・脚を、外に回すような動きです。
爪先が外に向いて、踵の後ろがくっつくような位置関係になります。
この動きは、股関節(脚の付け根)から回す動きです。
爪先を横に向ける動きではありません。
でも、結果的に爪先が横に向くような形になります。
最初は横まで行きませんが、横に向けようとすると思います。
先生から、脚を付け根から回すように使うと言われても、つい爪先を横に向けるようにしてしまいます。
似ている動きですけど、違います。
脚を付け根から回すようにするには、股関節周りから回さなければいけません。
お尻にある筋肉や内股の筋肉なども使います。
でも、爪先を横に向ける動きだと、つい前腿を使ってしまいます。
または、膝を曲げて爪先を横に向けて足裏の位置を決め、それから膝を伸ばしたりする事もあります。
これも違います。
膝を曲げると、膝から下は少し捻る事が出来ます。
膝下を捻って、足裏の位置を決め、爪先を外に向けてから、膝を伸ばす。
それだけだと、お尻や内股の筋肉をあまり使いません。
足裏の位置(爪先が外)が摩擦で動かないので、爪先が外に向いて膝が伸びた状態が出来ます。
この時、お尻や内股を使っていないと、膝が捩れやすくなってしまいます。
股関節から回して下さい、と先生に言われたら、股関節から回す事です。
爪先が斜め前になったって、そうし続ける事です。
そうし続ける事で、ターンアウトの筋肉が使えるようになり出来て来ます。
あとはストレッチです。
股関節周りのストレッチをして、可動制限が少なくなるようにします。
形だけ同じにしようとしてしまうと、結果的に出来なくなってしまいます。
最初は出来ないのが普通です。
最初から出来たら練習の必要はありません。
大人から始めるなら、アレンジはしない事です。
これは整体を勉強する人や、何かを大人になってから始める人にも言える事です。
バレエと解剖学
バレエが上手くなりたいなら、解剖学も知っておいた方が良いよね。
最近はそんな風に思う方も増えたように思います。
荒木が整体院を開業した2001年当時は、解剖学的なバレエなんて言っていたのは、本当に一部の人でした。
NHK文化センターで「バレリーナのための解剖学」という蘆田ひろみ先生の講座があって、3クールくらい受講したのがこの時期です。
その少し後にはローザンヌ国際バレエコンクール日本事業部が主催していた、バレエセミナーの治療師コースをこれも3回くらい受講しました。
バレエセミナーで指導されていたヤン・ヌィッツ先生(ローザンヌのムードラバレエ学校元校長)が、解剖学的なバレエなんて言っているのは、ヨーロッパの舞踊団でも2・3割くらいだと嘆いていました。
日本でも解剖学的なバレエが普及する事を願って、スイスから来てくれていたようです。
今はバレエのための解剖学の講座なども、本当に増えました。
解剖学的バレエの指導者も増えたと思います。
解剖学的なバレエは怪我や故障を防ぎ、上達を促すのに良いアプローチだと思います。
ただ、気をつけておく必要がある事もあります。
とくにアマチュアの大人バレエな人はです。
解剖学的な話は具体的で分かりやすいものです。
筋肉や骨の名前は具体的で、イラストや写真や最近は動画などでも、はっきりと確認出来ます。
この、はっきりと確認出来る、というところが、落とし穴になる事があります。
イラストも写真も動画も、イメージです。
実際の自分の体の中が見えている訳ではありません。
実際の関節とイラストや写真の関節は、少し違います。
人によって形状が違っています。
そこも理解しておかなければ行けません。
また、自分がイメージしている、その骨や筋肉が、実際のそれかどうかも分かりません。
上手くいった、と思ってしまうと、実際には違う使い方をしていても、その動きが習慣となって身についてしまう事もあります。
やっぱり最後は自分の感覚が大切です。
感覚と実際を合わせていく事。
自分の体を自分がどう使っているのかを感じる事が大切です。
その使った結果がどうなっているか、鏡を確認して見る事が大切です。
その使った結果がどうなっているか、先生や周りの人がそれを見てどう言うかアドバイスされているのかが大切です。
先生や周りの人に言われた事は、実際に人からはそう見えているという事で、結果としてそうなっているという事です。
自分ではそうはしていないと思っていたとしてもです。
自分を客観的に見る事は出来ません。
自分が自分を見るのは主観です。
人が見た自分や鏡に映る自分が、実際にやった事の結果です。
自分の感覚と客観的な結果を合わせるのが大切になってくる。
と思います。

一生懸命にターンアウト
バレエをやった事がない人には分かりずらいかもしれません。
ターンアウトの話です。
ターンアウトは股関節を外旋する事です。
バレエをやっている人が脚をそろえて立った時、踵の後ろがくっついて、爪先が真横を向いているのを見た事があると思います。
あれは股関節(脚の付け根の関節)が外回しになって(外旋して)いるから、膝やつま先が外を向いているという事なんです。
あれ(ターンアウト)はバレエの基本で、バレエをやっている間中、レッスン中も舞台で踊っている時も、やめるような指示がない限りずっとターンアウトし続けている”運動”です。
大人バレエな人の多くが悩んでいるのも、ターンアウトについてです。
先ず股関節が開かない。(外旋しずらい事を、開かないと言います。)
レッスンを始めたばかりは、普通にやると爪先が90度とか100度くらいしか横を向かない人が殆どです。
バレエスタジオでそうやって立っていると、自分だけターンアウト出来てないように感じる事があります。
周りはみんな180度とは言わないまでも、150度くらい開いて(外旋)いたりします。
どうして自分だけ。。。
と思うのも仕方ないかもしれません。
でもね、それちょっと違うんですよ。
普通は90度とか100度が正常です。
180度開くのは異常な状態です。
ではなぜバレエスタジオの周りの皆んなは、あんなに開いているんだろうと思うでしょ。
それは、開くようになった人が、残っている、からなんです。
そうでない場合もありますけど、バレエを始めてターンアウトが大切という事がわかって、練習していたら、たまたま股関節の可動域が広くて、もしくはかなり頑張ってストレッチをして、開くようになった人が残りやすいということです。
180度開脚が正常なんではなくて、異常な人が残っていると思った方が良いと思います。
普通の人が180度開脚したかったら、異常な状態になりたい訳なので、普通に練習したりストレッチしていてもなりません。
異常なくらいレッスンして、異常なくらいストレッチして、やっと開いてくると思っておいた方が良いと思います。
とは言え、ターンアウトしたいし、バレエもやりたいし。
ですよね。
そこで一生懸命にターンアウトしようとします。
一生懸命”力を込めて”ターンアウトしようとする。
そうすると、全然開かない。
みたいなことになります。
一生懸命とターンアウトが一緒になってしまっている人がいます。
一生懸命やらないとターンアウト出来ないと思っている人がいる。
でも別に一生懸命やらなくても、ターンアウトは出来ます。
そんなバカなと思われると思いますが、ちょっと聞いて下さい。
ターンアウトに必要な事。
一つは関節の可動域です。
もう一つはターンアウトする筋肉です。
可動域はストレッチをする事で広がります。
個人差はありますが、90度や100度で止まるということは殆どありません。
筋肉はターンアウトする筋肉だけを、出来るだけ使うという事が大切です。
ここに一生懸命の罠があります。
一生懸命にターンアウトしようとすると、ターンアウトする以外の筋肉も一緒に使ってしまいがちです。
そして、ターンアウトに使わない筋肉を使う事が、一生懸命を感じる要因になっている事があります。
ターンアウトに使わない筋肉、股関節周りの不要な筋肉まで使ってしまうと、ターンアウトは途中で止まります。
筋肉は縮む事で力を発揮するので、使わなくても良い筋肉を使うと、ターンアウトの動きを止める働きになってしまいます。
こういう人の体の使い方を誤解を恐れずに書くと、一生懸命にターンアウトすると、必ずターンアウト出来なくなってしまいます。
一生懸命を感じた時は、ターンアウトがしづらくなる筋肉を使っているからです。
困りましたね。
こういう場合の対処法は二つ考えられます。
一つは一生懸命にターンアウトしない事。
もう一つはただ、股関節を外旋させるだけをする事。
ナンダソレ。ですよね。
でもやってみて下さい。
股関節の可動域を広げるストレッチはとても大切なので、毎日、出来るだけやりましょう。
その上で、一生懸命じゃなくターンアウトする。
ただ股関節を外旋する。
ただアンデオールしていくだけ。
そんな方法もあります。
ターンアウトする以外の筋肉で、よく使われるのが、前腿の筋肉です。
どうしてだか前腿が使われます。
1番で立った時、お尻や腿の内側に力が入っているという感じ”だけ”で良いんです。
前腿やふくらはぎにはあまり力を入れなくても良いです。
いつもと違うので、これじゃターンアウト出来ないとと感じるかもしれません。
でも、いつもと同じだったらターンアウト出来ないんだから、いつもと違う感じを許してあげて下さい。
頑張って、一生懸命をやめてみましょう。

芸術家のくすり箱
芸術家のくすり箱というNPO法人があります。
ダンサーをはじめとする芸術家のヘルスケアをサポートする活動をしていました。
20年近く前に存在を知り、NPOの設立総会に一般会員として唯一参加させて頂き、今日、実は最後の総会に参加させて頂きました。
当時はダンサーを診る治療師というのが圧倒的に少なく、東京で検索しても数軒しかないような状態でした。
治療し向けのセミナーも殆どないような状態で、ダンサーは故障をすると言葉(専門用語)の通じない整体師や医師に、イライラしながら説明をしたり、結果的に諦めてしまったりしていた状態でした。
今はかなり多くのダンサー向け整体院や治療院が出来ました。
舞踊団やスタジオでもアイシングの用意すら殆どなかった時代から、公演にトレーナーが帯同するような状況になり、隔世の感があります。
それもこれも芸術家のくすり箱さんの活動があってのことだと思っています。
最初の頃の活動は、ダンサーがヘルスケアに気を付けることから始まったと思います。
健康診断をやったりしていた記憶があります。
次第に治療師向けのセミナーを開催したり、、ダンサー向けのWSをやったり、活動は多岐に渡りました。
今回は一旦、活動を終えるとの事でしたが、役割の大きな部分は終えられたのかなと思っています。
荒木も最初は治療師向けのセミナーやダンサー向けのセミナーに会員として参加して勉強させて頂きました。
後半は芸術家向けのアレクサンダーテクニーク講座で教師として参加させて頂いたり、書籍の出版の時にも少しお手伝いさせて頂きました。
整体院の最終目的は、患者さんが来なくてよくする事です。
NPO法人の活動も、活動しなくて良くなる事だとおっしゃっていました。
ちょっと寂しいですが、次の時代に入って来たのかなと思います。
ありがとうございました。
おつかれさまでした。




