ポアントで立ちきることが出来ない。
今日は一般的な整体の話ではなく、クラシック・バレエを習っている方の話です。
個人セッションに来た方からの質問でした。
「 ポアントで立ち切ることが出来ません。 」
それが質問でした。
バレエをご存知ない方のために書いておくと、ポアントとはトウシューズのことです。
バレエの舞台などで女性が履いている、先が点(ポアント)のようになったバレエ用の靴です。
バレエをやっている人の間ではポアントと言うのが普通です。
「ポアントに立ちきることが出来ない。」と言うのは、トウシューズを履いて足首を伸ばし爪先を伸ばした上に立つことが出来ないと言うことです。
とは言ってもトウシューズを履いてその先の上に体を乗せて立ってはいます。
問題は。
足首が伸びない。(爪先が伸びない。)
膝が曲がってしまう。
腰が引けてしまう。(股関節が曲がる。)
と言うことです。
どんな状態だろう思って、先ずはバレエシューズ(柔らかいバレエ用の靴)で1番でプリエをしてもらいました。
(プリエは股関節・膝関節・足関節を曲げていく動作=結果的に腰がおります。)
そう言うことか。。。
問題がここにありました。
ターンアウトが出来ていません。
(ターンアウトとは股関節の外旋を続けること。)
爪先は外を向いていますが、プリエをしていくときに膝が前を向いている。
確かめるためにトウシューズを履いてプリエしてもらいました。
同じです。
膝が前を向いています。
トウシューズを履いてルルベで立つ時に、足首や膝が曲がっている人はターンアウトが出来ていません。
ターンアウトをしていると、下肢の後ろと内側の筋肉を使います。
そのことで膝も足首も爪先も伸びます。
ターンアウトがないと膝は前を向き、爪先の上に乗り込む格好になります。
これだと頭と上半身と下半身の前後の関係から、足首か膝か股関節を曲げないとバランスが取れません。
また、前腿を使うため脚が太く見えてしまいます。
トウシューズを初めて履く時のレッスンはエシャッペです。
エシャッペとは5番から2番ルルベに立つ運動です。
(5番=足を前後に重ねた位置、2番=足先が左右に広がった位置)
この運動は脚の内側を使ってターンアウトを強くしている運動です。
トウシューズの練習がエシャッペから始まるのは象徴的ですね。
この方の場合はポアントで立てるようになるために必要なことはターンアウトでした。
バレエのレッスンはターンアウトが前提(デフォルト)です。
特にトウシューズのレッスンのときのエシャッペは大切です。
エシャッペの時に5番から2番ルルベになった時に、足の甲が外を向いているか。
そこから5番に戻る時に、踵が後ろを向かず中心に向かって真っ直ぐに戻ってくること。
膝は途中で一度も前に向かないように。
そうすることが大切です。
ようするにバーレッスンが一番大切と言うことですね。
(バーレッスンはバレエの稽古の前半にバー=棒を持ってその場で動く練習のこと)
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たまにはダンスの話
てあて整体院にはクラシックバレエやダンスをしている患者さんが多くいらっしゃいます。
プロもアマもいます。
それはたぶん僕自身がダンスを現在もやっているからだろうと思います。
26歳の時に初めてジャズダンスのクラスに行きました。
1984年でした。
キャッツを観た僕に何故にキャッツ?と聞いてきた同僚女性に、ダンスに興味ありと答えたところから始まりました。
当時サラリーマンでした。
ならば自分の通っているジャズダンス・クラスに来ないか?
現在、新しくクラスを始めたばかりで鋭意生徒募集中であると言う。
そうですか。
行きましょうと言うことで行きました。
愕然。
でした。
クラスに来ていた人たちの殆ど全員が「土」の字になってストレッチしています。
(開脚180度で前に倒れ腹も胸も頭も床にべったりついている。)
皆さんプロ的な感じだったんですね。
運動について”だけ”は自信がありましたが、その自信が崩壊しそうでした。
と言うことでダンスを始めてみることにしました。
大学までは体育会剣道部でしたので、全く畑違い。
でも、面白くすぐにのめり込みました。
以来31年です。
長いですね。
長い。
そして今も踊っています。
踊れんの!?
と思うでしょ。
他人のことならそう思います。
その年齢で踊れんの?
踊れます。
これが意外に踊れるんですね。
もちろん疲れます。
20代30代とは比べものになりません。
でも、疲れるまで踊れる時は調子が良い時です。
調子が悪い時は疲れるまで踊れません。
年をとったなぁと思うのはそういう時です。
ダンスをしている患者さんの気持ちは痛いほどわかります。
大人からクラシックバレエやダンスを始めたら、最初はてんでダメです。
それまでの自分の常識が通用しません。
出来たと思ったら出来てません。
出来ていないと思ったら出来ていたりして。
31年前初めてのクラスで床に長座した時、背中を出来る限り丸くして腕を前に置いておかないと後ろに倒れました。
なぜ前に体が傾くのかがわからなかった。
脚をあげようとすると80度くらいしか上がらない。
それ以上にあげるための筋肉の存在が全く判明しない。
あるいは筋肉が痛いだけ。
無理だ!
と思いました。
それでも5年10年と続けていると、意外や意外これが少しずつ変化していきますね。
長座で座れるようになるし、開脚も140度くらいは開くようになる。
そして現在に至っております。
だから何をどうすればどうなるかは分かります。
最初は言葉ではなかなか説明出来ませんでしたが、最近は割合と解剖学用語を使っても説明できます。
もちろん一般的な言葉でも説明します。
ダンスをやっているからと言って解剖学用語は知らない人が一般的ですから。
プロダンサーも診ています。
開業して3日目に来た殆ど最初の患者さんがプロダンサーでした。
(1日目は患者さんゼロ、2日目の患者さんは知り合い)
以来15年、ダンサーの体を見ているので、自分の体験とも合わせて分かることも多い。
本番前2週間だとこんな感じ。
本番前2ヶ月だとこんな感じ。
痛みの場所によって原因もある程度は似てくる。
ダンスのことで聞きたいことがあったら質問して下さい。
公開して良いものはお答えします。
知りたい人が沢山いると思います。
ダンスの話はまた書きます。
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痛みがあるときにレッスンをしても良いのか?
ダンスやクラシック・バレエのレッスンについて、あくまでもダンス歴30年・整体師歴15年で現役の個人的見解です。
解剖学的とか生理学的とかではなく、感覚的な話になると思います。
どうするか迷っている人は、書かれていることを参考にして、自分の判断で決めて下さい。
今日、約2か月ぶりにダンス・レッスンに行きました。
セッションハウス伊藤直子さんのコンテンポラリー・ダンスクラス。
激しい動きではなく、体と対話しながら細部を一つずつ、そして全体を動かしていくクラスです。
何故、一ヶ月半ぶりになってしまったのか。
実は9月8日に現代舞踊協会の舞台で踊った後、少し膝を痛めていました。
しゃがんだり大きく曲げたりすると、右膝が痛みます。
ちょうどそれまで舞台のリハーサルが続いていたので、しばらくレッスンを休んで仕事に専念することにしました。
どうせ2週間もすれば痛みも引くだろうとタカをくくっていました。
それが3週間経っても4週間経っても痛みが引かない。
マッサージやストレッチやテーピングをしてケアをしていましたが、様子があまり変わりません。
そうこうするうちに筋力が落ちてきた感覚がありました。
そうなると今度は筋力低下によるアライメントのズレや、踏ん張りがきかない感じもします。
まずいなぁ。
どうしよう。。。
と思っているうちに時間が過ぎていきます。
11月に入るころには痛みは少し引きましたが、違和感がある。
動くとちょっと引っかかるような感じ。
こうなってくると「調子が良くなったら行こう。」と思い始めました。
そうこうしている内に11月も末になってしまいました。
こりゃそろそろマズイ。
違和感も少しの痛みもあるけど。
今日は時間が空いているし、直子さんのクラスだしと思ってレッスンに行きました。
レッスン前は違和感はありました。
ちょっと引っかかるような、大きく曲げると痛みを感じるような。
それに古傷の左腰も収縮して軽い痛みがありました。
でも、今日は行っとかないとと思って行きました。
結果は。
良かった。
大丈夫でした。
膝は軽くなり、腰も軽くなりました。
と、言ってもたぶん明日には痛みが出てくると思います。
でもそれは仕方がない。
年齢から考えても、骨の状態を考えても、翌日に痛みが出るのは普通です。
(腰部変形性脊椎症で軽いすべり症、ヘルニアの疑いがあります。)
それでも行っておく方が良いと判断して行ってみて、思った通りだった。
先ず膝の痛みについて。
動かした感覚と自分で触診した感覚から、右膝内側の半月板が薄くなっていると判断しています。
骨の変形ではないように思います。
半月板が薄くなると、体重が掛かっているので内側の靭帯や腱や筋膜が縮みます。
日本人に多いちょっとO脚的な位置関係です。
そうやって膝の内側を縮めたまま動かしていると、炎症や筋疲労の疲労物質がたまったりして痛みが出ることがある。
硬くなった靭帯や筋膜や腱は血流も悪く、組織細胞の新陳代謝も良くない状態が続きます。
そうやって少しずつ痛みが出る状態が作られている。
動くことは血流を促すことに繋がります。
ダンスは膝をひねる可能性もあります。
特に股関節が硬く可動域が小さいと、つま先を外に向けた時に膝が相対的に内側に入って膝で捻ることになってしまうことが多い。
今日のクラスではそこに注意しました。
伊藤直子さんは身体に無理はさせない、でも極限までストレッチしたり動かしたりします。
そのバランスがとても良いと思っています。
だから、生理的出ない動きではない動きで、大きく身体を使ったり動かしたり出来る、と思っています。
それもあって復帰最初のクラスにと考えました。
もっと無理するのも大好きなんですが、そこは大人として真っ当な判断をしてみました。
(ホントは早く無理もしたいけど。笑)
膝が痛い人はとにかく、膝をひねらないこと。
動かすことは大切です。
半月板や膝の周りの腱や靭帯は、血管があまり分布していない組織です。
動かすことで水分や酸素が運ばれます。
また硬さも緩和される。
骨の変形があっても同じことだと思っています。
(もちろんお医者さんに止められてる人はそうして下さいよ。)
腰は動かすしかないと思います。
変形性脊椎症で腰椎すべり症でヘルニアの疑い。
そういった診断も大切ですが、僕の場合は体感を大切にします。
痛みが出る時は、筋肉が硬くなって動きが悪くなった時です。
レッスン後や酒飲みが続いた後など、筋肉の状態が悪くなっている時。
そんな時に一番良い対処方は、歩くことです。
歩けば数日で腰痛は改善します。(僕の場合)
つまり動かすこと。
ダンスレッスンの場合は翌日に歩いたりストレッチしたりして、疲労物質を流し柔らかい状態を回復させれば大丈夫です。
当日のお酒は出来るだけ避けたほうが良い。
でもまあ、これはね。(笑)
と言うことで、参考になりましたか。
患者さんの場合は、直接触れて話を聞いて状況を聞いて、どうすべきかお話します。
自分で判断する時には、自分の身体の状態をよく観察して下さい。
■ ■ ■ ■ ■ 大人バレエな皆さんのテキスト ■ ■ ■ ■ ■
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ストレッチ ~ ウォームアップとクールダウン ~
何度か色々なところで書いていますが、寒くなって来たのでまた書きます。
ウォームアップとクールダウンは別です。
バレエ・レッスン前や運動をする時のウォームアップと言えば、入念なストレッチだと思っている方が多いと思います。
でもそれちょっと違う。
ウォームアップはウォームアップです。
筋肉の温度を上げて血流を良くし、筋肉を柔らかくして伸び縮みしやすい状態にする。
ついで心肺機能も上げておくと言うものです。
例えば昼寝をしていて起きた途端にジャンプを飛べって言われたって危なくてしょうがないですよね。
飛ぶ前に筋肉と関節を動かして、飛んでも大丈夫にしておくと言うことです。
短時間でウォーミングアップしたければ、縄跳びや近く走ったり、その場でジャンプをしたりも良い運動です。
スポーツクラブでのレッスンや運動なら膝下にシャワーを当てるだけでも全然違います。
でも、大人からバレエや何かの運動を始めた人はストレッチも併用して下さい。
一日座って仕事をした帰りや、朝早くからお弁当と旦那の朝食・洗い物が終わったら洗濯して干して飛んできた。
みたいな後はウォームアップの後にストレッチもしておいて下さい。
いきなり動くのはちょっと危ない。
でも、子供のバレエは別です。
あんまり長い時間ストレッチで筋肉を引っ張り過ぎると、筋肉の反応速度が遅くなってレッスンに良くなかったりします。
クールダウンはその逆です。
筋肉の温度を下げること。
筋温を下げることによって疲労物質の新たな産生が減ります。
それとストレッチ。
ストレッチすることでレッスン中の疲労物質が流れます。
次の日に疲労が残りにくくなる。
そして関節可動域を広げる効果もあります。
レッスンや運動中の筋肉への刺激(伸ばしたり縮めたり)によって、レッスンや運動後は筋肉の反応速度が遅くなっています。
その上筋肉は暖かく伸び縮みしやすい状態にある。
レッスンや運動が終わったらゆっくりストレッチすることで、いつもより筋肉が伸びやすくなっている。
ゆっくり伸ばして可動域を広くして下さい。
ただし、伸ばしすぎは禁物です。
筋繊維を傷つけるほど引っ張ってはいけません。
ゆっくり痛気持ちイイくらいまで伸ばして下さい。
特にバレエをしている大人の方は、お尻の筋肉と内股の筋肉は、ターンアウトでよく使っているので固くなっていることがあります。
少しずつ伸ばすことで、筋肉の状態もよく保つことが出来ます。
※この記事は大人からバレエを始めた人向けに書いたものです。
整体師やこれから整体師を目指す方は参考にどうぞ。
■ ■ ■ ■ ■ 大人バレエな皆さんのテキスト ■ ■ ■ ■ ■
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ターンアウトとプリエ
ターンアウトもプリエもクラシックバレエの用語です。
ターンアウトは下肢の外旋でプリエは足関節・膝関節・股関節を屈曲していくことです。
整体師をやっていると色々なことを聞かれます。
特に整体院や整体師の得意分野では尚更です。
そしてその得意分野があることが患者さんを呼ぶと言うこともあります。
ターンアウトとプリエ >>>