勉強する時に気をつけること
整体の勉強はどうやってすれば良いんでしょうか。
現在は整体の勉強は整体学校や整体スクールに入学して教えてもらうことが殆どですが、以前は整体院の先生について修行をしたりしました。
でも、これがなかなか難しい。
自分一人で勉強するには限界があるし、でも結局は一人でやらなければいけないことなので、気をつけて考えておくべきことがいくつかあります。
てあて・あら木が整体学校で学生指導をしていた時や、てあて整体スクールでスクール生に指導をしている時も、勉強するときにはこんなことに気をつけたほうが良いよというようなことを言っています。
あら木自身もサラリーマン時代に勉強を始めたて困った経験があり、それを克服することを考えてきました。
これから勉強をする人にとって少しでも参考になればと思います。
整体の勉強は真剣に
「試合は練習のように・・・練習は試合のように」とは、学生時代剣道部に居たときによく言われていたことでした。
「本番の舞台ではリハーサルの半分出来れば上出来」とは、ダンス公演に出させて頂いたときの先生の言葉でした。
整体では何人もの先生に基本的な手技やテクニックを指導して頂きましたが、特に練習の時に真剣にやらないと絶対に上手くならないとよく言われました。
言葉では分っていても勉強を始めたころは、多くの学生に混じって「ある程度」真剣に勉強をしていたように思います。
それがあることをきっかけに、真剣に取り組むようになりました。
学校を卒業してリピート受講をし始めたころ、一人の知人を自宅に呼んで施術を行いました。
この時、初めて小額でしたがお金を頂いての施術となりました。
何故か、手足が震えました。
それまで無料で何人か施術していましたし、学校も卒業して「いっぱし」になったつもりで居たのですが、代金を頂くことになった初めての患者さんに手を置こうとしたとたんのことでした。
いや~驚きました。
春の涼しい日でしたが、汗をかいたのを覚えています。
よくよく考えたのですが、自信がなかったんだと思います。
全ての責任が自分にあり、どんな症状にもどんな質問にも、その場で自分で対処しなければいけない、と思ったとたん、手足に振るえが来たんですね。
ちょっ遅かったんですが、それからしばらく学校のリピート受講をさせて頂く間は本当に真剣に施術の練習を行った記憶があります。
今、勉強をしている方!
真剣に真剣に勉強して下さい。
僕みたいに患者さんを前にして、手足を振るえさせないために、今のうちにがんばって下さい。
整体は自分から勉強する
前の項目では「真剣に勉強しましょう」なんて、あったりまえのことじゃん!と思った方も多いでしょう。
でも、実際にはこの「あたりまえ」のことがなかなか出来ないようです。
次に重要なのは、自分から勉強をするということです。
これもあたりまえのことのようですが、なかなか本当に自分から勉強している人というのは少ないものです。
スクールに入ると多くの人は、何故か安心してしまいます。
「やっと勉強を始めることが出来た。」「これで整体師になれる!」と思うんでしょうね。
でも、勉強をするのも、技術を身につけるのも、整体師になるのも、全て自分です。
整体の学校で生徒指導をしていたときに、「黙って授業に出ていても、あなたの頭に注射器でピューっと知識や技術を注射してくれるわけではありませんよ。」というようなことを言っていました。
学校選びをする際に、大きな学校では生徒が多すぎて授業の内容が薄くなってしまうのではないかと、考える方がいました。
逆に小さな学校だと手取り足取り教えてくれるのでは、と思うようです。
でも、実際には学校の大きさは関係ありません。
自分が勉強をするかどうかで、自分の将来が決まってきます。
沢山の学生がいるのなら、一番前で聞けば良いのです。
少人数のスクールでも、適当に聞いているだけではあなたの身に技術も知識もつきません。
問題は学校の大小ではなく、授業の受け方ということになります。
授業で聞いたことを自分なりにやってみたり、まとめてみたりすると、疑問点が出てきます。
手技であれば自分の体格や筋力に合わない場合、質問をすれば自分で使いこなせる手技になります。
学科でどうしても覚えられないことなどは、自分でまとめを行わなければ、身につくことはありません。
やっぱり、あたりまえのことになってしまいましたが、「自分から勉強をする」という姿勢が大事です。
整体の手技の意味を考える
「真剣に勉強しましょう」とか「自分から進んで勉強しましょう。」なんて、あったりまえのことばっかりじゃん!と思ったでしょ。
ここまでは普通というか確認です。
これからが整体独特の注意点ということになるのではと思います。
「手技の意味を考える」ようにして下さい。
例えば、骨盤矯正をする時のことを考えてみて下さい。
患者さんの体制を整えるために腕を引いたり膝を曲げたり、自分の体制を作るために、膝をどこかに当てた爪先立ちしたり膝を曲げたりと、一つの手技を行うにしても様々なことをやっています。
これってどうしてでしょうか?
また、腰痛を取るには、「ここをこうして」「そこをそうして」「あそこをああして」と、手技の順番が決まっているような指導をされることもあるでしょう。
言われた通りにやっていれば、腰痛や肩凝りが緩和されてくるとは思います。
でも、どうしてその順番なのでしょう、どうしてそこを施術するのでしょう?
手技には理論があり、だから今皆さんが学んでいるような体系になっています。
ところが、指導者は先ず順番とやり方・方法を教えようとします。(そうでない所もありますけどね)
そして、指導者が理論を説明していても、先ず手技を覚えようとして聞いていない方が多くいます。
患者さんは千差万別、同じ原因や身体つきの方は一人としていません。
どんな方がいらしたとしても、痛みの原因を調べる方法をしっていれば、どこに対して施術を行えば良いかが分ってきます。
そしてその時、手技の意味・やり方の意味が分っていれば、患者さんに合わせて手技をアレンジすることが出来るようになります。
目的がある一点に対する虚血性の圧迫であれば、方法は何でも良いでしょう。
自分が習った一つの方法に固執する必要はありません。
目的を達成するために、自分に合った患者さんに合った方法を考えれば良いのです。
ほとんどの場合、スクールや学校で学んだ方法が一番良いとは思いますが、理論・目的が分っていないと応用が利かない施術者になってしまいます。
整体の練習の時から口と手が同時に動くように
「手技の練習をする時は話をしながら手を動かすようにします。」
ようするに患者さんと話をしながら手技が行えるように、日頃から訓練しておくということです。
自分は治療だけをすることを目標にしているので、患者さんと話ながら手技を行う必要は感じないと言う方もいらっしゃると思います。
でも、ベッドに寝ている患者さんから、施術中に何か質問をされたらどうしますか?
話をしながらでも手技が出来れば、手を止めずに施術を続けながら患者さんの質問に答えることが出来ます。
リラクゼーション系の施術をする場合は、患者さんと話が出来るのは当然というか、必要なことだと思います。
どんな患者さんでも最初は初診です。
初診ということは、初めてあなたの施術を受けるということです。
どんなにあなたの容貌が患者さんを安心させるものであったとしても、また、あなたのテクニックがすばらしいものであったとしても、患者さんは緊張をしています。
緊張を解くためには、患者さんと話をするのが近道です。
「出来ることをやらない」のと「出来ないことをやらない」のでは、あなたの施術の幅や効果に大きな開きが出来てきます。
何事も出来るようにしておくというのは重要なことです。
解剖実習に行けない方へ
僕もそうだったんですが、解剖実習に行くことが出来ませんでした。
海外で解剖実習を受けることも出来ますが、実際に解剖をし直接筋肉や骨格を見たことがないという方の方が多いと思います。
そうは言っても、患者さんを触診したり施術したりする時に、どの筋肉・どの骨格に触っているのかが分らなければきちんとした施術は出来ません。
そこで、僕は勉強している時に使っていた教科書の他に、4~5冊くらいの解剖学の本を購入しました。
うち1冊は全般的な内容の書いてある「解剖学」(柔整学校の教科書だと思う)で、他に筋肉に特化した「身体運動の機能解剖」という本と「分冊 解剖学アトラス」という本とあと数冊です。
「解剖学」という本は3度ほど読みましたが、他の2冊は今でもよく使っています。
(2017年現在は他2冊はほとんど見なくなりました。後で出てくるプロメテウス解剖学アトラスを良く見ています。)
この2冊は勉強をする時にとても役に立ちました。
勉強をする時に常に手に持って授業を受けていたのが、「身体運動の機能解剖」です。
生徒同士で練習をする時に、どの筋肉・どの骨格のどの部分にコンタクトするのかというのは分るのですが、ではその部分が「どこにあるのか」というのは、筋肉図が頭の中に入っていない勉強中のころはあいまいなままでした。
そこで「身体運動の機能解剖」のページをめくりながら確認して施術の練習をするようにしていました。
この本でなくても良いのですが、僕にとってはけっこうわかりやすい本でしたので、この本を使っていました。
ようするに、「おおよその見当」で施術をするのではなく、自分が行っている施術の部位を確認しながら勉強すると、覚えも早くなるということもあるし、応用もきくようになってきます。
「分冊 解剖学アトラス」は、もっと詳しい解剖図が書いてあります。
この本は臨床経験を積むようになってから活用している本です。
始めて見た症状や部位の痛みなどは、その部位に何があるのかを正確にするために、この本を見るようにしています。
前々回に書いた、手技の意味を考えるというのと似ていますが、どの筋肉・骨格・神経に対してアプローチしているのかを知るために、絵や写真になったものを確認するというのは重要なことです。
開業してもう7年(2008年現在)になりますが、最近良い本を見つけました。
プロメテウス解剖学アトラスという専門書です。
以前からあったネッターの解剖学図譜と似ては居ますが、もっと詳しく精密な絵になっています。
それに解説が秀逸で面白い。
これ一冊あれば、開業してから患者さんに説明をするのにも使えます。
上にも書きましたが開業して16年経った今は、プロメテウス解剖学アトラスを良く使います。
患者さんに説明するにもとても便利です。
大きくて重い本なので、施術室に常備するのに良いと思います。
また、脱サラする前にお金に余裕のある時に買っておくと良いと思います。
先ずは運動器系が必要と思います。
手技は自分の身体を整えて。
2014年1月現在)開業して13年目に入りますが、最近は患者さんに整体をしていると自分の調子が良くなります。
最初の頃は肩に力が入ったり無理な体勢で施術をしていたこともあるようで、身体の疲れが偏って出たりもしていました。
今は整体をすると、身体が整うような感覚があります。
整体の勉強を始めた頃は難しいことかもしれませんが、自分の身体が楽な姿勢や使い方を心がけることが大切です。
スポーツでも良いフォームは良い結果を生みやすいと言われます。
結果が出ていない時はフォームの見直しをしたりもします。
整体も同じで患者さんの身体を調整する時に、自分自身の形・姿勢・フォームや使い方が上手くコーディネィトされていると、患者さん(相手)にも良い伝わり方をします。
良い形や姿勢やフォームや使い方は、身体に無駄な力が入りにくく、自分の身体を効果的に効率的に生理的に使っている状態です。
実はその状態で患者さんに相対することだけでも、患者さんにとっては良い刺激となっています。
先ずは自分を整えてから患者さんに相対してみて下さい。
どうやって整えれば良いか分からない場合は、『首に力が入っていないか。』『頭から坐骨までの脊椎(背骨)が真っ直ぐなっているか。』を意識し『ひと呼吸置いてから』患者さんの身体に触れてみて下さい。
武術やヨガや太極拳など、基本の構えがある運動をしておくのも良いかもしれません。