膝の解剖学
解剖学の授業で膝について話している内容です。
膝関節は大腿骨と脛骨で出来た関節です。
肘関節は上腕骨と橈骨と尺骨で出来ています。
でっ?と思わないで下さい。
これ大事なポイントで、体の見方の基本が含まれています。
大腿骨と脛骨で出来ているという事は、膝関節の動きなどはこの二本の骨の関係で説明が出来る事になります。
同様に肘関節は上腕骨と橈骨と尺骨の三本の骨で出来ているので、この三本の骨の関係で説明されるという事になります。
膝関節を構成している大腿骨は股関節で骨盤に繋がっています。
骨盤が歪めば、大腿骨の位置や向きは変わり、膝関節の状態は変わります。
大腿骨の下にある脛骨は、普段立っている時は地面につながっているので、あまり位置や向きは変わりません。
左右の爪先の向きが大きく違ったりは、あまりしないという事です。
脛骨の位置や向きがあまり変化しないという事(もちろんそれが問題になる事もありますが)は、大腿骨の位置や向きが変われば、膝関節の状態が変わるという事になります。
骨盤の歪みやズレが膝関節の状態を変える可能性が高いという事です。
同じように股関節の動きが、膝関節の状態を変える可能性も高いという事になります。
歩く時(股関節屈曲)に膝が内側に入る傾向(内転)があれば、膝関節は歩くたびに捻れが生まれている事になります。
膝関節自体の動きも問題になりますが、股関節の動きが膝関節に影響する事もあるという事です。
てあて整体スクールの解剖学は、形だけの話ではなく、動きや機能についての話もしています。
実際の形などの話をします。(イラストの下につづく)
脛骨の上端は平で大腿骨の下端は丸くなっています。
平な面に丸いものを置くと、ズレたり動いたりします。
そこに半月板という組織があります。
半月板がある事で大腿骨が横にズレたり、脛骨の上から逸脱しずらくなっています。
半月板は左右に半月のような形のものがあり、中心近くだけが脛骨につながっていて、反対側の反円部分は動くようになっています。
内側と外側の半月は動きが違っていて、膝が曲がると外側の半月の方が大きく動くようになっています。
大腿骨と脛骨は外側側副靱帯・内側側副靱帯・前十字靭帯・後十字靭帯で繋がっています。
そして大腿骨と脛骨はたくさんの筋肉で繋がっています。
前十字靭帯と後十字靭帯は不思議な靭帯です。
というか不思議だなと思います。
前と後ろにクロスするというのは、どういう設計になっているのかが分かりません。
脊柱(背骨)の椎骨はそれぞれ大きさは違いますが、基本的な構造は一緒です。
どの椎骨にも椎体があって椎弓があって、横突起と棘突起があります。
一番には椎体がないように見えますが、二番の歯突起が元々は一番の椎体部分と考えれば納得はいきます。
ところが、前後に捻れてついている靭帯というのは、やっぱり不思議です。
内側は内側に外側は外側に、前は前に後ろは後ろにつながっているなら分かりやすいですが、どうして前後に捻れたんでしょう。
整体とは関係ないですけど、いつも不思議です。
ついでに言うと、前後ではなく左右ですけど、中枢神経が交叉しているのも不思議です。
左大脳は右半身、右大脳は左半身の運動を支配している現象です。
錐体交叉(すいたいこうさ)と言って、脳の運動神経が延髄の下で交叉しているんです。
ちょっと話がズレました。
整体的に知っておかなければいけないのは、膝関節の位置や状態が何が原因で起きるかという事です。
上に書いたように、骨盤の歪みやズレや股関節の歪みやズレで膝関節の位置関係が変わります。
また、股関節の動きで、日常的に膝関節を使う時の捻れや動きが影響を受けています。
膝の動きは大腿骨と脛骨の関係で説明出来ると書きました。
膝関節には特徴的な事が一つあります。
屈曲時(曲がっている時)には、膝関節は回旋します。
大腿骨と脛骨が捻れの位置に動く事が出来るという事です。
でも、伸びている時(伸展時)には、膝関節は動きません。
膝を伸ばすと、大腿骨と脛骨の位置関係は変わらないという事です。
膝が曲がっている時に、爪先を内外に動かす事は出来ますが、膝が伸びていると膝と爪先の位置は基本的には変わりません。
(足関節=足首の所が緩い人は、足関節が少しだけ捻れます。)
骨の変形がない時の膝痛の原因は、殆どがこれです。
膝を曲げて爪先と膝は違う方向を向けますが、そこから膝をのばす時に最終的に膝と爪先の方向が合わないと、捻れない膝関節を捻ってしまう事になるからです。
ところで、大腿骨は股関節に繋がる時、真横からではなく少し後ろから繋がるようになっています。
また、内転勤群は恥骨の前から大腿骨の後ろ側に繋がっています。
ここから股関節の動きの特徴がわかったりもします。
これらは進化の過程でそうなったという事なんですけど、そんなところも考えると、解剖学は面白くなってくると思います。
「ダンス専科」への道 荒木靖博65歳 ③ 膝
4月6日に本番のある「ダンス専科」に出ます。
神楽坂セッションハウスです。
リハーサル的なスタジオレッスンが始まって1ヶ月くらいになりました。
今回はレッスン中に行っている動き(シークエンス)を踊るという作品です。
フロアでの動きが結構あるという話を以前にも書きました。
膝がね。
表題に年齢が書いてあります。
65歳です。
別に年齢は関係ありませんが、関節の変形などは加齢により増えてきます。
これはまあ自然の摂理ですから。
そういうものです。
荒木もいろいろなところが変形しています。
膝も、いや、膝ではなく右膝の半月板が薄くなっています。
レントゲンを撮ったら膝関節の裂隙が狭くなっているので、たぶんそうなんでしょう。
膝周りが変形していると、痛み出る事があります。
もう数年前からたまに痛みが出ます。
その度にストレッチをしたりしてやり過ごしています。
変形は治りませんが、ストレッチで位置関係は修正出来ます。
筋トレや体の使い方で、動きも修正できます。
位置と動きが修正できれば、痛みはある程度は消えます。
今はそんな状態です。
骨の変形があって痛みが出るのは普通のことです。
でも、普通だからと言って放ったらかしにはしません。
たまに、痛みがあるのは当然みたいな言い方をしますが、そんなことはないと思います。
痛みは状態を表している事が多いので、きちんとケアをして状態を良くしてあげる、元の状態に近づくようにしてあげる。
そうすれば、痛みの軽減もあるし、状態も悪化だけではないと思います。
腰にも変形があるんですよね。
実は首(頸椎)にも。