反り腰出尻内股O脚外反母趾浮指からの巻肩ストレートネック
「先生(荒木のこと)、前回お話し頂いた、内股から外反母趾に至る関連というか、どうしてそうなっていくのかの話を、もう一度聞かせて下さい。」
名古屋で開催したインストラクターのための解剖学入門講座3回目で質問がありました。
これ意外に長い話になるんですが、解説しました。
事前に確認しておきますけど、一番最初がどれか(どこか)というのは決まっていません。
ある程度は決まっていて、こっちが先で次がこれみたいな展開はありますが、必ず順番にこうなるという訳ではない。
それと、全部一緒に起きるかどうかもわかりません。
一緒に起きる事が多いですが、たまにそうなっていない部分がある人もいます。
反り腰と出尻は殆ど同時に起きます。
腰が反るとお尻(骨盤)が前傾します。骨盤が前に傾くから、腰が反るという場合もあります。
どっちが先かは分かりませんが、だいたい一緒にそうなります。
その姿勢のまま歩いたり立ったりするといろいろな事が起きます。
内股になりO脚になります。
骨盤が前傾すると、内股になります。やってみると分かりますが、股関節が内旋(内側に回る)します。
ほとんどのO脚は股関節内旋です。
写真を撮ってみると分かりますが、膝が内側に入っています。
脚が太くなります。
内股O脚気味の方の特徴は、膝を後ろに押して伸ばす事です。
膝の伸ばしすぎ。
反張膝とも言われます。
脚をまっすぐにしたくて、膝を伸ばしますが、膝を後ろに押して伸ばそうとするので、伸ばしすぎ後ろに反ったような状態になります。
膝を押すので、前腿の筋肉を使い脚が太くなります。
膝を前に持ち上げる歩き方になります。
立って膝を後ろに押す前腿を使う習慣から、歩く時に膝を前に持ち上げる歩き方になります。さらに前腿が太くなります。
膝を持ち上げるので、足首を使わなくなり、脛(スネ)が張って、膝下も太くなります。
浮指になります。
膝を前に持ち上げる歩き方で、足首を使わない習慣が出来ます。ここから足指を使わない歩き方になり、浮指になります。
歩く時、足裏全体や足指の付け根で、地面を押すからです。
(もしくは地面を押さないから。)
巻肩・ストレートネック
反り腰から背中が丸くなります。(腰の上が反って後ろに向かうので、頭が前でないと前後バランスが取れません。)
肩甲骨が前に出て、腕が内旋して、巻肩になります。
同時に頭が前に出るので、それを支えるために首の後ろが緊張し硬くなってストレートネックになります。
書いていて自分の背中も苦しくなります。
こんな風に体は全体でバランスをとります。
どこかが前に出れば、どこかが後ろに出ます。
もしくは筋肉を使う。
そうしないと倒れるからです。
それが姿勢や歩き方など、普段のその人の形や動きを作ります。
どこか一つだけよりも、全体がどうなっているか見るのが大切です。

履きやすくて脱ぎやすい靴
少し前にも書きましたが、最近、発売された靴(スニーカー)の話です。
しゃがまなくても足を滑り入れるだけで履ける靴。
と宣伝されていました。
滑り入れるを英語にしたような商品名です。
その靴が今度は別の宣伝文句を言うようになりました。
脱ぎやすい靴。
しゃがまなくても脱げる靴です。
手を使わなくても、しゃがまなくても履けるし脱げる靴。
楽ですね。
楽なのは認めます。
でもねぇと思います。
スネ(の前)の筋肉が張ってきます。
浮指になるかもしれません。
前ももが太くなるかもしれません。
O脚や外反母趾が心配です。
履きやすくて脱ぎやすい靴は、脱げやすい靴です。
脱げやすい靴は脱げないように足や脚を使います。
歩いている時に脱げないように、足指を広げたり、足首を伸ばさないように使ったり。
そこから関連して、前ももを前に持ち上げるように歩いたり。
そんな風な”傾向”があります。
だから心配。
心配な人は靴紐を自分で結ぶような靴を履いて下さい。
とくに外反母趾の人はです。
荒木は心配です。
足裏感覚 浮指について
歩いている時の後ろ足の感覚。
足裏全体ですか、足指の付根(母趾丘・小指丘とか)ですか、それとも指先を感じますか?
足裏全体を感じるとか、あるいはあまり足裏とか指の付け根とか感じないと言う人。
注意が必要です。
ひょっとして浮指じゃないですか?
浮指は足の指先が浮いたようになっていて、指に重心が全く乗っていない状態です。
足裏に墨とかインクを塗って白い紙の上に立つと、指以外の足裏しか黒くならなかったり、人差し指から外の4本は点々とついているけど、親指がついていなかったりします。
かかと重心だったり、上に書いたように、足裏全体や歩く時足指の付け根で床を押したりしているとそうなります。
それが?
と思う人もいると思います。
確かにただ足指があまり使えていないと言うだけです。
でも、それが、だけじゃないんです。
歩く時、足裏全体や足指の付け根で後ろ足を押していると、前ももで膝を持ち上げる事になります。
そして、あまり足首を曲げ伸ばししない。
前ももで膝を持ち上げると言うことは、前ももの筋肉が張ってくると言うことで、脚が太く見えます。
見え方だけだったら良いんですけど、もも裏を使わず、足首を曲げ伸ばしないと、脚の後ろ側の筋肉を使わない事になります。
脚の後ろ側の筋肉を使わないと、血流があまり良くなりません。
血流が良くならないと、体温が上がりにくかったり、浮腫みがちになったりすることもあります。
前ももが張ることで脚が太くなるだけでなく、脚の後ろを使わないので、お尻も下がってしまいます。
また、膝を前に上げるような歩き方は、内股気味になってしまい、O脚の原因になることもあります。
足指の付け根(母趾丘、小指丘等)で地面を蹴るようにすると、足指の付け根の横アーチが崩れ、地面に落ちてしまいます。
そのことで、足の人差し指が母趾の付け根を押し、母趾が外(内側)に離れてしまい、外反母趾の原因となることもあります。
また、内股気味だと股関節の動きが悪く、内臓の下の方の血流や柔らかさも失われる可能性があります。
お腹の血流が良くないと、冷え性や女性特有の症状も出たりする可能性があります。
良くないすね。
浮指は立っている時に足指に力を入れることでは、殆どは治りません。
常に足指にだけ力を入れるなんて出来ないからです。
歩き方を見直すこと。
立っている時の重心を見直すことが大切です。
歩き方は上にも書いたように、足指の先まで意識が残るように。
後ろ足で地面を押すような感じ。
強く蹴るのは難しいと思うので、後ろ脚の足指が残っている意識があれば良いと思います。
また、立っている時は、逆に足裏全体に重心が乗るように。
踵重心になって、体重が足裏の後ろ側にあると、前ももに力が入ったり、腰やさまざまな場所に緊張が出てしまいます。
少し気をつけましょう。
時間が立てば変化は現れます。
両足とも親指が浮いているのが分かります。
爪の先が天井を向いているでしょう。
向かって右(左足)は外反母趾気味になっています。
ルルベが立てないとか 外反母趾とか
ルルベが立ちにくい!
大人になってクラシックバレエを始めるとよくある話です。
ルルベとは爪先立ちのことですね。
爪先立ちになって”バランスを取る”と言われています。(僕はバランスとは思ってませんけど。)
爪先立ちになると、接地面が小さくなるから立ちにくくバランスが取りにくいと思われがちです。
向かって左(本人の右)足の親指を見て下さい。
親指の爪の先が天井に向いてます。
反対側の向かって右(本人の左)足の親指はそうなっていません。
ここポイントです。
爪の先が天井に向いていると言うことは、爪先で地面を踏んでいないってことです。
向かって右(本人の左)足は爪先で地面を踏んでいるので、爪の先が地面の方を向いています。
自分の足で確認してみましょう。
両方とも地面を向いている人もいるし、両方とも天井を向いている人もいます。
地面を踏んでいないって何を意味するのか。
爪先で地面を踏んでいないと言うことは、歩いている時や動いている時にも、爪先まで地面を踏んでいないってことです。
爪先が使えていないってことは、指を使っていないってことです。
そうなると、地面を捉える足裏は指の分だけ小さくなります。
例えば足のサイズ25センチの人が爪の先を使っていないと、20センチくらいいなってしまうってことです。
それに、足指には関節があって、いくつかの骨があります。
足指使わないと足裏は小さくなるし、せっかくの骨も使えないので、バランス悪いですよね。
立ちにくい。
そして脚の後ろ側の筋肉を使いにくい。
爪先を使わずに、足指の付け根(拇指球・小指球)で地面を蹴って歩いてみて下さい。
脚の前側の筋肉を使っているのが分かりますね。
そして脚の裏側の筋肉を使いにくいのが分かります。
そうなるとどうなるか。
バレエで使いたくない前もも筋を使い、ターンアウトに必要な後ろ側の筋肉を使いにくくなる。
前ももやスネの外前の筋肉が鍛えられるので、脚の外側が太くなります。
O脚にも見えるようになったりします。
外反母趾との関係もあります。
外反母趾は足裏の筋肉が使われないことで、拇指の付け根が外側に張り出して行き、拇指の爪先が内側に入ってなるとも言われています。
拇指の爪先が天井を向いているような使い方をしていると、足裏の指を動かす筋肉が発達せず、外反母趾になりやすくなると考えられます。
拇指の爪先が内側に大きく曲がっていると、拇指や爪先が動かない人がいます。
でも、トレーニングすれば殆どの場合は動くようになります。
外反母趾を進めないようにするためにも足裏の筋肉、特に指を動かすようにトレーニングしましょう。
ついでと言っては何ですが、ルルベでバランスについて。
ルルベでバランスを取ろうとすると、拇指から小指までの指を使わず、拇指級など指の付け根に乗って立とうとします。
骨の上に乗る、とか、バランスを取る、と言う立ち方です。
でも、それだと長い棒を手の平の上に乗せてバランスを取っているようなもので、重心がルルベで乗っている小さな面積から外れると倒れてしまいます。
そうではなく、ルルベで立った面積にある指で立つんです。
意思を持って立つんです。
グラグラしようが傾こうが、立つ。
立つために5本の指を使って、微調整をしつつ立つんです。
その意識がなければポアントでも立つことは出来ません。
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